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アメリカの11月の第四木曜日は感謝祭=Thanksgivingである。
Turkey Day(七面鳥の日)なんて呼ばれたりもして、昔ながらの感謝祭の祝い台詞である Happy Thanksgivingではなく、Happy Turkey Dayなんていう人も... 感謝祭の起源: かつてアメリカ新大陸を植民地化すべく上陸したイギリス人たちは、不慣れな土地で十分な食べ物を得ることもできないまま弱っていった者が多かった。 アメリカ先住民族(アメリカインディアン)はそんなイギリス人を敵対視していたものの、見るに見かねて大陸に適した作物の育て方を教え、そしてある年の秋、彼らの長年の習慣である収穫を祝う行事の際に、イギリス人たちにを食事に招いた。 (アメリカ先住民族から振る舞いを受けた...という部分が抜け落ち、イギリスからの移民が新大陸での最初の収穫を祝ったことが起源...と信じているアメリカ人も少なくないが) そしてそのときにイギリス人に振舞われたという食事が、現在のアメリカの感謝祭の正餐の原点であるといわれている。 メインになるのはたいていが七面鳥のロースト、それにクランベリーソースを添える。 サイドディッシュには、スタッフィングまたはドレッシングと呼ばれる、サイコロのような角切りにしたパンに味付けし、ときにはニンジンやセロリなどの野菜の角切りも一緒に入れたもの。 それにサヤインゲンのキャセロール、マッシュポテトにグレービーソースをかけたもの、サツマイモに似たヤムイモを甘く煮たもの...などが主である。 デザートにはカボチャのパイもしくはアップルパイ。 これも定番である。 要するに日本のおせち料理のようなイベント食なのであるが 正直いって、そのどれもが「一年に一度食べるこれを待っていた!」というものでもない。 (日本でも、最近は購入するグルメなおせちも人気らしいが、それでも「おせち料理が大好物!」という人は珍しいのではないか) ただこの日は家族で集まって、みんなで仲良く一緒に七面鳥の料理をいただきましょう...という「家族が集まる日」としても有名な感謝祭なので、これまた日本の盆や正月みたいな感じだろうか。 私が結婚していたときは、毎年当然のように元夫の両親に呼ばれ、一緒にこの感謝祭の料理をいただくことになっていた。 自宅で七面鳥を料理したものを振舞われたこともあったし、レストランに一緒に行ったこともあった。 彼らはとってもいい人たちで私のことも存分に可愛がってくれたので、感謝祭にそうすることが苦痛だと感じたことは一度もなかったが、私の心のどこかに「面倒くさいなあ」と思う気持ちがこれっぽちもなかったかというと、それはウソである。 なので離婚した後、感謝祭に自分の好きなことを好きなだけしていていいのだ...とわかったときに、なんだかホッとした...というか、自由の身になったような晴れ晴れした気持ちになったのを覚えている。 ところが、である。 バツイチとなって仕事をしていた私に、同僚が聞いてくるようになったのである。 「感謝祭はどうするの?アナタ、家族は日本にいるっていってたわよね」 「どうするって、別に何もしないけど...?」 ここまでいうと、たいていのアメリカ人が、なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまった...申し訳ない...どうしよう...という困り顔をするのである。 なかには、「だったらうちに来たら?家族や親戚がみんな集まるし、楽しいわよ!アナタだったら大歓迎!」と誘ってくれる人も少なくなかったのだが、知り合いでもない彼らの家族や親戚と無理してワイワイやるなんて想像しただけでも疲れそうだったので、どれも丁重にお断りした。 感謝祭に一人でいるということは、そんなに「可哀相」なことなのだろうか?? そのときすでに、外出している人が少ないはずだから、いつも人が多いビーチでサンセットの写真を撮ろう!と張り切って計画していた私は驚いた。 それから毎年毎年、必ず数人に「感謝祭はどうするの?」と聞かれ、私はといえばいつも同じ受け答えをし、そしてやはり彼らに「悪いことを聞いてしまった」と申し訳なさそうな表情を作らせてしまう...というパターンがお決まりになってきてしまった。 そうなるともう、なんとか今年はこの質問をされませんように...とそっと祈るようにさえなってくる。 何度もいうが別に私は感謝祭に一人でも寂しくもなんともなく、かえってセイセイしていたのだから。 けれど周囲のアメリカ人はそんな私を「気の毒に」としか見てくれないのである。 (あれ?今になって思えばウソでもいいから適当に「友達のお母さんに招待されてるの」とでもいえば、そんな彼らに「可哀相に...」って同情させることもなかったのかも?バカ正直は困りますね...^^;) 離婚する前の年の感謝祭で元夫の両親とともに七面鳥を食べて以来、私はこの伝統的な感謝祭の過ごし方とは縁のない生活を送ってきた。 離婚後Jと出会ってからは、彼の家族に、この感謝祭のディナーに誘われたことも何度かあったのだが、Jの母親はともかく、その他のメンバーとはあまり知った仲でもなかったのと、私自身がそういった「それほど楽しくもないのに楽しんでいるフリをする」ことに疲れて、そして厭きていたために、何かと理由を作って断ってきてしまった。 自ら望んだ「孤高の感謝祭」は、結構楽しかった。 で、一人で何をしていたかというと、従業員を家族と過ごさせるため...ということで行きつけのスポーツクラブも閉まってしまうので、昼間の間は海の近くなんぞをウォーキング、日没近くになるとカメラを担いで眺めのいい撮影スポットを探して写真撮ったりして、夜はといえばネットやプレステで遊んだりしていた。 感謝祭は家族と一緒に濃厚な肉親愛を無理してでも育むべき...と信じているたいていのアメリカ人には、なんて気の毒な女性なのだろう...と同情されそうではあるけれど...^^; Jはといえば...かつては感謝祭といえば家族が無理矢理にでも集まって一緒に過ごすのが習慣だったらしいが、2年ほど前より家族が遠くに点在して暮らしていることから、もうそんなふうに七面鳥を囲んでみんなでディナー...ということもないらしい。 現在一緒に住んでいる私と感謝祭らしいディナーを用意することも可能だけれど、二人で一羽の七面鳥を料理したって、食べ切れなくて、飽きちゃって、無駄になるだけだしねえ...と笑っていたら、 「ねえねえ、Thanksgivingさあ、タイ料理食べに行こう!」だって。 ははは、アメリカの感謝祭も変わりつつあるってわけね...^^; Jのお母さんは、今でも昔ながらの感謝祭を夢見ているらしい。 今は集まる家族のメンバーも少なくなってしまったけれど、かつてはそれはそれは大きな集まりだったとか。 大きな七面鳥が食卓の中心にどーんと置かれ、サイドディッシュの皿がその周りを囲む。 誰が七面鳥のどの部分が欲しいかで大騒ぎして、おしゃべりしながら食べた後は甘い甘いパンプキンパイ。 いつもはケンカばかりする家族だけれど、この日ばかりはみんな上機嫌。 そんな昔のTVドラマに出てくるような感謝祭の夕食光景。 日本の母親が正月には家族が揃っているのを願うのと同じかもしれない。 「電話してHappy Thanksgivingくらい言ってあげたら喜ぶんじゃない?」 「うん」 アメリカの感謝祭は、この日を一緒に祝う家族がいるということに感謝する日...でもあるらしい。 ←どこの国でも母親ってのは同じなのね、と思ったらポチっと♥ Top▲ |
by mari_ca
| 2007-11-22 07:21
| 異国文化
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