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もうすぐHalloweenがやってくる。
最近日本でもこのイベントが一般化してきているようだが、仮装した子供たちが幼稚園や学校でパーティーのようなことをしたり、大人も仮装パーティーをする程度のような印象だ。 ちなみになぜか日本語だと「ハロウィン」とカタカナになっているが、英語だと「ハロウィーン」と、「ウィ」にアクセントを置いて語尾をのばす感じでね。 私がHalloweenのことを知ったのは、大昔に映画「E.T」を観たのがきっかけだったかもしれない。 あの映画の中で、Halloweenの夜に子供たちが思い思いの仮装をして、お菓子をもらうために近所の家々を訪ね歩くのだ。 E.Tにもシーツだか何だかを被せ、仮装した子供の一人だということにしていたと記憶している。 子供たちはHalloweenには仮装して街を歩くのかあ...と知ったものの、なぜか現実世界で実際に子供たちがそういうことをやっているのだ、とピンとはこなかったことも覚えている。 留学していた1991年。 ルームメイト3人と一軒家を借りて生活していたときに、本場のHalloweenを初めて体験した。 玄関まわりにそれらしい飾りをしておくと(カボチャやオバケやクモの巣といったもの)、それを見た子供たちは、「ここの家はお菓子をくれる家」と認識するというのだ。 そしてそのとおりにして、お菓子もたっぷり用意しておいた。 この時期になるとスーパーでも、Halloweenに配る用にと、枕カバーサイズの巨大な袋に小さなキャンディーやチョコレートが詰まったものを売っているので、それをいくつか買えば大丈夫なはずである。 そしてHalloween当日。 日が暮れるやいなや、子供たちは近所の家々を巡り始める。 ピンポーン...と呼び鈴がなり、続いて「Trick or Treat!(トリック・オア・トリート!本来の意味は「お菓子をくれないと悪さをしちゃうよ~!英語だと「チュリッカチュリーッ!」と聞こえる)と、子供の大声が聞こえてくる。 ドアを開けると、コスチュームに身を包んだ子供たちがいるので、彼らが持ったプラスチックのカボチャ型バケツや、紙や布の袋の中に、お菓子を二つ三つ入れてやるのだ。 あの夜、そうやってお菓子をもらいに来た子供たちは、軽く80人くらいはいたのではないかと思う。当然、用意したバケツにいっぱいのお菓子はキレイになくなってしまった。 あの当時でも、やっぱり子供たちだけで行かせるのは危険だということで、そうやってお菓子をねだる子供たちの背後には、少し離れたところで見守る親の姿があった。 また、Halloweenで見知らぬ家の人からもらったお菓子は必ず親に点検してもらってから食べること、とTVや学校から子供たちに呼びかけてはいたが、最近は親ももっと神経過敏になっているらしく、近所を回る代わりに親戚や友人のグループで集まり、Halloweenパーティーの形式で子供たちにお菓子を与えるといったパターンも増えているらしい。 アメリカ人の友人ら(30代~40代)に聞くと、彼らが子供だったころは、同伴する親など必要なく、子供たちだけ数人で集まって、近所の家をはじからはじまで回って歩いたそうだ。 お菓子を入れてもらうのは枕カバー(!)。 あれが軽くて大きくて一番良かったらしい。 今は近所にどんな人が住んでいるかもよく知らないような社会になっているが、あの頃はご近所みんな顔見知り。 どこの誰とも知らぬ隣人が、子供を危険な目にあわせたり、お菓子の中に針や体に毒になるものを忍ばせたり...という心配は皆無に近かったに違いない。 誰に聞いても「あったあった、そういう家~~~!」というのが、ご近所オバケ屋敷。 子供が成長して家を出て行った後の、老夫婦だけになった家などがよくこれをやっていたというのだが、玄関周りはもちろん、通りから玄関に続く表庭の一面にHalloweenの飾りを施し、お菓子が欲しい子供はその庭を抜けて、さらにオドロオドロしいBGMがかかる中、玄関から家の中に入り、お菓子の用意してある奥の突き当たりまで行かなくてはならない。 つまり、簡易キモ試しになっているのだ。 ドキドキと高鳴る心臓を意識しながら、そろりそろりと家の中に入っていく。 照明は暗く落とされ、クモの巣やコウモリ、骸骨や魔女や吸血鬼といったプロップがじっと自分を見つめるなか、やっとお菓子の入ったボウルをみつけ、そっと手を伸ばしてお菓子をつかんだその瞬間... すぐ横に座っていた大きな魔女の人形がすくっと立ち上がる! うわ~~~~~~~~~~!!!!!!と叫んで逃げる子供。 そう、そんな家の住人である老婦人が、自ら魔女の扮装をし、じっと椅子に座って驚かすチャンスを待っていたのであった。 隣の部屋では夫である老男性が、くすくす笑いなかが効果音の入ったカセットテープの操作を担当している。 そんなお手軽ホーンテッドハウスが近所にあることが珍しくなかったそうだ。 コスチュームを着た近所の子供たちは「今度はお前行け!」「いやだよ~~~!」とその家の前にどんどん集まってしまう。 まだ世間がそれほど危険ではなかった時代の、怖くも楽しいHalloweenの夜の様子が目に浮かぶようではないか。 職場の同僚である女性(31歳)は言う。 「5歳とか6歳の頃ね、そういう凝りに凝った近所の家が怖くてたまらなかったの。 もし、飾りに使われてるプロップの中に、実は本物の殺人鬼が潜んでいて、もし自分がそんな殺人鬼に殺されちゃったりしたら、後から来る人たちは私の死体が転がってるのを見ても、演出のためのプロップのひとつかと思って気が付かないに違いない!って思ってたから。そういう家に入っていく瞬間は、胸がドキドキして手に汗握っててたわ。 ホントにホントに怖かったのよ」 ...演出のためのプロップの一つだと思って死体になっても誰にも気づかれない...というところで大ウケしてしまった。 5歳くらいの女の子が、きっと妖精とか天使のコスチュームに身を包んで、そこまで真剣に考えているなんて、あまりにも可愛すぎる! 私がHalloweenの夜に、実際に近所を回る子供たちを体験したのは、ルームメイトと一軒家に住んでいたあの時だけだ。 アパートに住むようになってからは、そんなこともなくなってしまった。現在住んでいるアパートには、セキュリティのために鍵でしか開かない鉄の門が付いているし、外からは簡単に敷地内に入ってこれなくなっているので、仮装した子供たちが訪ねる対象ではないのである。 キャンディを大量に用意する手間は省けるし、楽といえば楽なのだが、次から次へとやってくる、色々なコスチュームに身を包んだ子供たちにお菓子を与えたあの年のHalloweenが、今ではほんの少し懐かしい。 Top▲ |
by mari_CA
| 2006-10-27 23:30
| ライフスタイル
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